人手不足の厨房で、調理する人の体の負担を減らすには
介護施設の厨房でよく聞かれるのが、「人が足りない」という声です。限られた人数で、毎日決まった時間に、入居者一人ひとりに合わせた食事を用意しなければなりません。その分、一人あたりの作業量は増え、腰や手首、足への負担も大きくなりがちです。体の痛みが原因で仕事を続けられなくなれば、残った人の負担はさらに増えるという悪循環に。今回は、厨房で働く人の体を守るための工夫を、身近なところから考えてみましょう。
負担が大きいのはどんな作業?
まず大切なのは、どの作業が体に負担をかけているのかを知ることです。厨房でよく挙がるのは、次のような作業です。
- 重い物を運ぶ:食材の入った箱、水を張った鍋、食器のかごなど
- 長い時間立ち続ける:下ごしらえから盛り付け、洗い物まで、座る時間がほとんどない
- 前かがみの姿勢:低い流し台やシンクでの洗い物、床に近い棚からの出し入れ
- 同じ動きのくり返し:刻む、混ぜる、裏ごしするなど、手首や指を何度も使う作業
一つひとつは小さな負担でも、毎日積み重なれば腰痛や手首の痛みの原因になりかねません。
「運ぶ」負担を減らす
重い物を持つときは、一度に運ぶ量を減らすだけでも体への負担はずいぶん違うものです。箱のまま運ばずに小分けにする、台車やワゴンを使う、といった工夫が効果的です。鍋に水を張るときは、先にコンロの上に置き、ホースや小さな容器で水を足すのがおすすめ。水の入った重い鍋を持ち上げずにすみます。
また、よく使う物を腰から胸の高さの棚に置けば、しゃがんだり背伸びをしたりする回数も減らせるでしょう。棚の配置を一度見直してみるのも一つの方法です。

「立ち続ける」「かがむ」負担を減らす
作業台や流し台が体に合っていないと、知らないうちに前かがみの姿勢が続いてしまうもの。台が低い場合は、作業するものの下に台を置いて高さを調整するとよいでしょう。反対に台が高すぎる場合は、足元に安定した踏み台を置くと楽になります。
立ち仕事が続くなら、クッション性のある靴や疲れにくいマットで足腰の負担を軽くするのも手です。ただし、マットはつまずきや滑りの原因にならないよう、しっかり固定できるものを選ぶことが大切です。片足を低い台にのせて立つだけでも、腰への負担は和らぎます。
「くり返し」の負担を減らす
刻む、混ぜる、裏ごしするといった作業で負担がかかるのは、主に手首や指です。道具が手に合っていないと、つい余計な力が入りがちです。握りやすさや重さを見直す、包丁はこまめに研いで切れ味を保つ。こうした工夫で、使う力を減らすことができます。
同じ人が同じ作業をずっと続けないよう、担当を交代するのも効果的です。一日の中で作業を入れ替えるだけでも、体の同じ部分ばかりを使い続けることを防げるはずです。
仕組みで負担を減らす
体の負担を減らすには、一人ひとりの心がけだけでなく、厨房全体の仕組みづくりも欠かせません。
- 作業の順番や流れを見直し、行ったり来たりする動きを減らす
- 下ごしらえの一部をまとめて行う日をつくり、毎日の作業量をならす
- 「痛い」「つらい」を言いやすい雰囲気をつくり、早めに対策を考える
- 短い休憩やストレッチの時間を作業の予定に組み込む
特に。痛みを我慢して働き続けることは、本人にとっても職場にとってもよいことではありません。小さな不調のうちに声をかけ合える関係づくりは、結果として人手不足の対策にもなるのです。
まとめ
人手不足の厨房に欠かせないのは、限られた人数で長く働き続けられる環境づくりです。運ぶ、立つ、かがむ、くり返すという4つの負担に目を向け、道具や配置、作業の流れを少しずつ見直していきましょう。大がかりな設備の入れ替えをしなくても、できることはたくさんあります。毎日厨房に立つ人の体を守ること。それが、入居者においしく安全な食事を届け続けることにつながっていきます。


コメント
この記事へのコメントはありません。
この記事へのトラックバックはありません。