安全でおいしい食事を提供するために。調理用品を使い分ける目的や方法について解説

調理用品の使い分けはなぜ必要なのか

HACCPが施行され、調理に携わる業界の衛生管理手法が制度化される中で、「調理用品の使い分け」という言葉をよく耳にされると思います。業界によっては当たり前の考えでもある「使い分け」ですが、そもそもなぜ調理用品の使い分けが必要なのかを改めて振り返ってみましょう。

使い分けの目的:菌を付けない事

使い分けとは同じまな板や包丁などを使いまわすのではなく、食材や用途ごとに使用する調理用品を分けることにあります。使い分けをしないことで考えられる代表的なリスクは
「食中毒の発生」です。以下に、例を紹介します。

生肉(生魚)を切る際に使用したまな板

使いまわしをすると・・・

まな板に付着したままの生肉(生魚)の菌がサラダ用の野菜に付着

サラダの為加熱されず、生肉(生魚)からサラダについた菌は付着したままで提供

食中毒が発生するリスク大

このような可能性があります。菌が付着したまな板や包丁を使いまわすことで、食品の「二次汚染」に繋がり、食中毒発生のリスクが高まるという流れです。

生肉についている菌は「腸管出血性大腸炎、サルモネラ属菌、カンピロバクター、E型肝炎ウィルス」など、生魚は「腸炎ビブリオ」と様々で、いずれも加熱が不十分だと食中毒に繋がるリスクがあります。

生肉・生魚に潜む食中毒菌の一部

目に見えない危険である菌の、調理器具を介しての移動を防ぐために、使い分けが実施されているということですね。
その他アレルギー対応の料理を提供する場合も、アレルギー食材の調理に使用したものを使いまわすことで、アナフィラキシーショックを引き起こす要因となる場合があります。

そういったアクシデントを避けるためにも、調理用品の使い分けは重要となります。

使い分けの仕方:使い分けをすることでどのようなメリットがあるのか?

使用食材や用途ごとに調理用品の使い分けが必要です。わかりやすい分け方としては調理用品のカラーやサイズ、文字を使っての識別等が一般的です。
例えば、ピンクのまな板はお肉用、グリーンのまな板は野菜用、黄色の包丁は果物用、青い包丁はお魚用など。

ここで先程の事例に、使い分けを実施していたケースを当てはめてみましょう。

生肉(生魚)を切る際にピンク(ブルー)のまな板、包丁を使用

サラダ用の野菜のカットはグリーンのまな板、包丁を使用

肉・魚・サラダで使い分けたことで、菌の付着(二次汚染)はサラダに発生せず

安全な料理を提供

人為的なミスを軽減し、二次汚染のリスクを減少させることが可能になります。

使い分けの種類としては、「肉類」、「野菜」、「魚」、「果物」、その他、「下処理用」、「上処理用」、「アレルギー用」、「除去食用」などで使い分けられる方が多いです。また、同じ肉類でも「牛」、「豚」、「鳥」で分けられる場合もあったりと、調理場毎に適した使い分け方があります。

調理場のスペースが限られている場合や一般家庭では、肉や魚を切るときにはシートまな板や牛乳パックを乾かして切り開いた物などで使い分けするとよいでしょう。包丁は都度洗ってからお使いいただくことをおすすめします。

まとめ

社会問題にもなったユッケの食中毒事故も、店舗での調理器具の使い分けがされていなかったことが原因の一つと考えられています。
まな板、包丁に限らず、泡立てやトング等の調理用品の使い分けの徹底をすることで、上記のような問題を防ぐことができます。安全でおいしい食事を提供し続けるために、効果的な「使い分け」を実施していくことが重要です。

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